【 難波事務所 ある日の昼休み 】

松永: あなたに「松」のサービスを。
(ある日の難波事務所お昼休み。不審な動きをしている佐藤。見るからに怪しい。)
あれ? なんかそわそわしてません? なんか動きが怪しいですよ~。
昼休みなんだから昼寝でもしたらどうすか。 昼寝、スペイン語ならシェスタ。
昼寝なんかしてられるか!
これ見てよ! 難波事務所も協賛している「高槻 ジャズストリート 2016」、
今年はなんと大西順子1)が来るんだぞ!
5月3日現代劇場大ホール、20時から。
今回はトリオでの参加だね。
わたしは万障繰り合わせて聴きにいくつもり。
へー・・・。
っていっても、ジャズに興味なければなんのことかわからないよね。
大西順子はジャズ・ピアニスト。
「美人ピアニスト」なんて紹介されるときもあるけど、その音楽を聴けば、そんな紹介の言葉が恥ずかしく感じられるだろう。
左腕、長!
それは写真の撮り方の問題だ。
そこは注目しなくてよい。
わたしは高校の頃にジャズを聴き始めたんだけど、ちょうどそのころ大西順子もデビューした。
今は廃刊になった「スイング・ジャーナル」や廃刊前の「JAZZ LIFE」の表紙を飾ったりして、特集を組まれていたのを覚えている。
(興味なさそうに)なるほど、デビューから好きだった、と。
ところが、それがそうでもないんだな。
実は、はじめ聴いたときはよくわからなかったんだ。
ソロはメロディというよりも途切れ途切れのフレーズの連発で、 和音も不協和音的。
取り上げてる曲もセロニアス・モンクやチャールズ・ミンガスなどの半ば現代音楽っぽい曲ばかり。
ビル・エヴァンスを聴いてうっとりしてるような田舎の高校生には理解できなかったんだな。
はあ。
それが、たくさんの音楽を聴いていくうちに、そのすごさがわかってくる。
メロディに頼るのでなく、和音とグルーヴを重視するスタイルをあえて選び取っていることに気づいてからは、
大西順子の音楽にずるずるとハマってしまった。
彼女はモンク、ミンガス、ドルフィー、エリントン、オーネットの曲を好んで演奏するんだけど、その選択、解釈も素晴らしい。
エリントンの「The Shepherd」をカバーしているのには驚いた。
彼らに共通するのは「美しい曲を書き、前衛的なソロをする」というスタイルで、 これは彼女自身のスタイルと重なる。
以前に実物を聴いたのは、京都RAGの東原力哉の音語りでウェイン・ショーターのピノキオを演奏していた。
あれはカッコよかったなあ。
さらにこれらのミュージシャン達に共通しているのは個人技が注目されがちなジャズというジャンルにあって、
あえてバンドサウンドを追求したことで・・・
・・・って、なんの話だっけ?
終わりましたか佐藤さん。
途中から何言ってるのかわかりませんでした。日本語喋ってくださいよ。
ごめんごめん。
1枚だけ、大西順子のCDを紹介させて。
やっぱり1stの衝撃がすごい。
かなりゴリゴリです。
しかし、波があるね、佐藤さんは。
いつももっとテンション低いじゃないすか。
1週間前はなんか落ち込んでたりし。
あれはプリンスの急死(21日:現地時間)を知ったからだよ。
本当にショックだった・・・。
プリンス???
プリンスは、スティーヴィー・ワンダーやジェイムス・ブラウン、マイケル・ジャクソンといったブラック・ミュージックの巨星の1人といっていい。
マイケル・ジャクソンと違って、誰でも知ってるヒット曲が少ないから、
若い世代はよく知らないかも。
誰もが知ってるヒット曲は、「パープル・レイン」「BatDance」くらいかな。
バットダンス、プリンスなんですか。
「農~協~牛~乳」ですね!
よく知ってるね。
さすが隠れ空耳スト。
プリンスは、どちらかというと音楽好きに愛されるミュージシャンかもしれない。
こういうところは偶然にも大西順子と共通しているところだ。
プリンスがいなければ、密室で突き抜けた音楽をつくりだすBECKや、
自己愛をエネルギーに、FUNKをポップスに昇華させた岡村靖幸も存在しない。
(たぶん聴かないと思うけど社交辞令で訊いておこう)
じゃあ佐藤さん、プリンスを聴くとしたら何がいいですか?
1枚選ぶなら『PARADE』かな。
Amazonのレビューとか見ると、わたしと同じ年代のアラフォー世代の熱の入ったコメントでいっぱい。
アイデアもぶっ飛んでるけど、ヘッドホンで聴くと細部までつくりあげられた音響・音像に昇天必至です。

セクシージャケット。
佐藤さん・・・。
人に紹介するなら、向きを確認してくださいよ。
これ、90度ズレてるじゃないですか。
向きはこれで正しい。
あと、裏側はさらにセクシーだ。
話変わって、今年の手塚治虫文化賞が発表されたね。
もうそんな時期ですか。
僕は芥川賞よりも注目してますよ~。
なんと、今年は『よつばと!』が手塚治虫文化賞の大賞を受賞した(4/27)。
これもうれしいニュースだった。
手塚治虫文化賞はその審査方法に定評があって、
個人的にはこうの史代に出会えたことから毎年その発表を楽しみにしてる。
自分が好きなものが評価されるのを見るのは嬉しいものだね。
ただ、10年間このマンガを読み続けた者からすると、受賞は「いま頃かよ!」という思いだ。
この賞の対象は、「選考年の前年に発行され、読者・選考委員から推薦された単行本」だから、
対象にしたくてもできなかったんじゃないですかね。
作者のあずまきよひこは「筆が遅い」ので有名な人ですから。
もはや、冨樫義博、井上雄彦3)と並んで「筆が寝ている」レベルだよね。
『よつばと!』は去年13巻が出たので、めでたく審査対象となったのだろう。
よかったよかった。

祝! 大賞受賞!
『よつばと!』は老若男女、誰もが楽しめるマンガだよ。
ウチにいるリアル「よつば」も楽しく読んでるし、ジジババも楽しんでる。
それにしてもGWは忙しくなりそうだ!
2日間高槻ジャズストを駆けずり回るもよし、『よつばと!』を最初から読み直すのもいい。
・・・いや、You Tubeでプリンスの動画を片っ端から見まくるのいいなあ。
いや、僕は勉強しますよ、行政法と民法。
最後にいいカッコして・・・。
1) 敬称略です。
2) 選考委員は、業界の重鎮ではなく「現在の漫画をよく読む人物」が選ばれ、選考委員の審査内容は公開されます。
3) そういえば、井上雄彦もプリンスのファンだったはずです。
『SLAM DUNK』作中で流河が自転車に乗りながらウォークマンで聴いていたのも
プリンスの「NEW POWER GENERATION」でした。
【まとめ】
難波事務所は高槻ジャズストリートを応援しています。
この1週間、これらのニュースに興奮したのはわたしだけではなかったはずです!
今回は、サブカル方面の内容に偏ってしまいましたが、 この興奮を共有したかったためです。
佐藤と同じ世代の方(アラフォー世代)ならばわかっていただけると思います!
なお、この会話は(半分)フィクションです。
実物の松永はあまりマンガは読みませんし、つぶやくボケはもっと破壊的です。
皆さま、有意義な連休をお楽しみください!
【スタッフ: 佐藤龍】