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【本の紹介】租税法を学ぼう。


【本の紹介】租税法を学ぼう。

『租税法』

『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【まとめ】

「税」を学ぶには、大きく分けて経営学、経済学、法学の3つのアプローチがある。

法学として税を学ぶための視点と、そのための足がかりとなる本を紹介。

紹介する本:

『租税法』(金子宏)

『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』(吉田利宏)

 

【 難波事務所 ある日の昼休み 】

 

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   佐藤    アラフォーで猫好き。

松永

   松永    タバコやめてます。

 

   

 

 

 

 

 

 

  

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 あれ、佐藤さん・・・・・・わからない人ですね、

 読書は健康に悪いって言ってるでしょ!

  速やかに本を読むのは止めなさい!

 

 

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 お、「速やかに」なんて、

 なかなかいい言葉遣いするようになったじゃない。

 でも、この場合は 「『直ちに』止めなさい!」と言ってほしいところかな。

 

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 む・・・ちょっと何言ってるかわからない・・・。

 佐藤さん、日本語でお願いします。

 

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 なんだ、意識して使ったわけじゃないのか。

 「速やかに」、「直ちに」は法律用語だよ。

類語に「遅滞なく」なんてのもある。

法律用語って、普段使わなくて何となくとっつきにくいけど、

意味の違いによって細かく使い分けがされてるので、違いを知ってればその意図するところを正確に理解することができる。

ちなみに、 緊急度の順で

直ちに > 速やかに > 遅滞なく  となってる。

「なんとなく」な言葉のニュアンスじゃなく、緊急度は必ずこの順序で使われる。

そういう話は、この本にたくさん書いてあるよ。

『元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(スマホをいじりながら)はい、今日も本の紹介ありがとうございます。

時間のある時に読みたいと思います。

 

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 (・・・こいつ、読む気ないな。)

 話変わるけど、会計事務所の仕事を大学で勉強するなら、

 どの学部にいけばいいと思う?

 

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 そりゃ経営学部でしょ。

  僕も経営学部。ビバ!マネジメント!

 

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 それが一般的な答えだけど、他にも選択肢はあると思うんだな。

 例えば、「財政学」などのマクロ経済学な観点から税を学ぼうと思うなら、

 経済学部、という選択肢もあると思う。

この前紹介した『私たちはなぜ税金を納めるのか』の諸富先生は経済学部の先生だし。

でも、この仕事に一番役に立つのは法学部なんじゃないかな、と最近よく考えるんだ。

 

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また意味のわからないことを・・・。

税理士は経済学部、経営学部。

法学部は行政書士、司法書士、弁護士。

それが世間の常識です。

 

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と、普通は思うだろう。

でも、日本の税制は租税法律主義に基づいて定められているから、

結局、徴税・納税の根拠って、税法という法律なんだな。

法学として税を学ぶ際は「租税法」という分野になる。

この分野での「超」重要文献はこれ。

『租税法 第20版』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 租税法を学ぼうと思うなら、何はなくともこの本を読まなければならない。

 金子『租税法』は憲法学における芦部『憲法』のような本で、

 いわばトランペット吹きにとっての『アーバン』、

 ジャズマンにとってのナベサダ『ジャズスタディ』みたいな本だ。

 

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  『ジャズスタディ』って、まだ読まれてるんですか?

   40年以上も前の本ですよ!

  あれを読んでもアドリブできるようにならないし。 

 

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 妙なところに食いつくな。

 時代遅れになってたり、文句をつけたいところもあるかもしれないけど、

 『ジャズスタディ』は「古典」なの。

バークリー・メソッドを知らなければ、リディクロの革新性も理解できないでしょ。

権威主義的な言い方になるけど、まずは古典を知らなければ個性も革新もありえない。

ついでに言っとくと、『ジャズスタディ』は実践書というよりも理論書だから、

あれを読んでアドリブができるようになるわけじゃない。

ジャズスタディ

 

 

 

 

  バークリー・メソッドの粋が詰まった『ジャズスタディ』。

  表紙の「Sadao Watanabe」のサインがまぶしい。

 

 

そういや、金子『租税法』の初版も40年以上前だし、この2つの古典、

なんか共通するところがあるなあ。

 ちょっと待って・・・あ、すごいこと発見!

金子宏先生1930年生まれの85歳渡辺貞夫さん1933年生まれの82歳!

ほぼ同年代なんだね。

2人とも、激動の1960年代をくぐり抜けた後に、

40代にその分野での古典を著す、と。

まだご存命で、バリバリの現役なのもすごい。

 

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それにしても、この本すごいですね。

厚さ 5.2 センチ、重さは 3 kgありますよ!

2時間ドラマでよく出てくる、「鈍器のようなもの」的な凶器にもなりそうだな~。

 

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なぜこの事務所に体重計があるのか、ということは置いておこう。

本を重さで量る、というのは斬新な発想だね。

この本のすごいところは、「第20版」とあるように、

定期的に版を重ねてアップ・トゥ・デートを怠らないことだ。

この第20版は1ヶ月前の4月に出た本で、相続税の改正ももちろん反映されている。

しかも、問題となる論点はほぼ漏れなく言及されており、この本から芋づる式に辿っていくことができる。

租税法を学ぶなら、とにかく一家に一冊な本なのだ。

 

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(パラパラとめくりながら)

うわ、見事に字ばっかり・・・。 もはやこれは辞書ですね。

うーむ、凶器にも辞書にもなるなんてすごい本だ。

それだけでも価値がありますよ。

 

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 さて、法学として税務を考えると、いろいろ見えてくることがある。

 税理士試験、特に計算の上では、

 税法も通達も同じレベルで勉強するけど、実はこの2つには大きな違いがある。

従業員レクリエーション旅行や研修旅行の非課税基準、

つまり会社の福利厚生費とされるか、従業員の給与とされるかの基準はどこにあったっけ?

 

 そういうのは任せてください。ca82908d6bacfb6fd5ff89ef8e9b9632-150x150

旅行期間が4泊5日以内なら会社費用でしょ。

 

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お、よく知ってるね、その通り。 

もう一つ、「従業員の参加割合が50%以上」というのもあるけど、

この4泊5日という基準も、実は有名な判例を踏まえてると思われるんだな。

≪「ハワイ5泊6日事件」(岡山地裁昭和54年7月18日判決)≫ ・・・給与所得として課税

≪「香港2泊3日事件」(大阪高裁昭和63年3月31日判決)≫  ・・・給与所得として非課税

 

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「香港2泊3日事件」・・・なんか2時間ドラマみたいな名前ですね。 

そうか、ハワイは課税されちゃうけど、香港なら非課税なんですね。

 

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期待通りのボケをどうもありがとう。

場所じゃなくて、宿泊日数に注目してね。

まあ、1人あたりの費用も、

ハワイ事件は18万円強、香港事件は6万円という違いもあったので、

日数の違いだけが課税/非課税の判決の根拠となったわけではないだろうけど、現通達( 昭和63年5月25日)の4泊5日というのは、この2つの判例を意識してると考えられるよね。

でも、最近では「マカオ2泊3日事件」(東京地裁平成24年12月25日)なんてのもあって、なんとこれは給与所得として課税

もっとも、これは1人当たりの費用は24万円を超えていたから、課税という判決も納得できるところかな。

というように、細かい通達一つを考えても、判例を知るのは勉強になるよ。

 

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佐藤さん、一つ聞いていいスか?

「箱根湯けむり源泉徴収事件」とかないんスか?

 

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そんなものはない。

テキトーなこと言うのは止めなさい。話がややこしくなるから。

 

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 じゃあ、「マカオのオカマ」。

 回文ですよ、これは。

 

 

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 ・・・「じゃあ」の意味がわからない。

 そんなら、「宇津井健氏は神経痛」。 これならどうだ。

 

 ・・・本当はまだ他にも紹介したい本があるんだけど、

とりあえず今日はこのあたりでおしまい。

 

 【最後にまとめ】

よく、「町のなんでも屋」、「中小企業の社長のもっとも身近な相談相手」とも称される税理士ですが、主に数字を扱うイメージが強いせいか、

「法律家」という面が軽視されがちです。

最近は、過去の判例などを参考に、租税法を研究しています。

条文や判例の読み方・解釈の方法について、興味のある方は今回挙げた本などをご参考ください。

あと、『ジャズスタディ』は名著だと思います。

バークリー・メソッド万歳。

金子宏『租税法』は5,800円、

ナベサダ『ジャズスタディ』は3,800円(それぞれ税抜価格)。

本にしては少し高い値段ですが、コストパフォーマンスは期待できます!

それぞれ、この分野では一家に一冊、そして一生ものの本です!

 【スタッフ: 佐藤龍】

 

 

【本の紹介】『私たちはなぜ税金を納めるのか ―租税の経済思想史』、諸富徹

『私たちはなぜ税金を納めるのか ―租税の経済思想史』、諸富徹、新潮選書、2013年

 

私たちはなぜ税金を納めるのか

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

私たちはなぜ税金を納めるのか: 租税の経済思想史 (新潮選書)

 

 

【まとめ】

経済学者による租税思想史。

実務への即効性はないが、世界史をたどりながら税制の成立・根本を理解することができる。

 

【 難波事務所 ある日の昼休み 】

 

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   佐藤    アラフォーで猫好き。

松永

   松永    タバコやめます。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

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 あれ、佐藤さん、なに読書なんてしてるんでスか?

 読書なんて健康に悪いですよ~。秋なんだからカラダ動かさなくちゃ。

 

 

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 余計なお世話だよ。

 松永さんこそ、若い時に本を読む癖をつけとかないと

 取り返しがつかないことになるぞ。

まあ、せっかくだから、いま読んでる本を簡単に紹介しとこうか。

この本、知ってる? 結構話題になったから、読んだことはなくても題名は耳にしたことないかな?

 

私たちはなぜ税金を納めるのか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちはなぜ税金を納めるのか: 租税の経済思想史 (新潮選書) 

 

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 『私たちはなぜ税金を納めるのか』・・・

 ・・・見たことあるような無いような・・・

いや、確かに題名はどこかで聞いたことがあるような気もしないわけじゃありません。

 

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 ・・・つまり知らないってことね。

 ビジネス関係のメディアはもちろん、

 一般書のコーナーでも折に触れて取り上げられてたよ。

新聞の書評でも取り上げられてたと思うけど。


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 ふ~ん。なんででしょうね。

 

 

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 出版のタイミングもよかった、というのは大きいと思うな。

 去年の2013年とは、消費税8%への増税を目前に控え、

相続税増税が巷の話題に上り始めた時期。

この本が売れたのは、世間の税一般への関心が高まってきた、そういう背景もあっただろう。

あと、文章が読みやすいんだよね。

学者の先生が書いた学術書だし、内容も節税とか実務とは直接関係ないんだけど、読みやすい文章なんだ。

 

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 でも、『私たちはなぜ税金を納めるのか』って・・・

 ・・・義務だからでしょ? 佐藤さん、そんなのも知らなかったんすか?

 

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 話はそんなに簡単じゃないぞ。

 それなら「なぜ税金を納めなければならないのか」になるはずでしょ。

 で、まさにこの本の主題はそこなんだ。納税は「権利」なのか、「義務」なのか。

 

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 うわー、「国民ひとりひとりが納税者意識をもて」とかそういう話ですか?

 そういうの面倒だからいいですわ。

会計事務所の仕事とは関係ないような・・・。

顧問先にとっては、抽象的な理想論を訴えられるよりも、

実務の処理を正確に素早くこなしてもらう方がうれしいんじゃないですかね。

 

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 それはそのとおり。

 でも、難波所長もよく雑談で話してるじゃない。

 「相続税は日露戦争の戦費調達が目的で導入された」とか。

正しい処理だけじゃなくて、税金について幅広い話題を提供するのもお客様に喜ばれると思うけどな。

ところで、国民の3大義務って知ってる?

 

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 バカにしてるんでスか、佐藤さん。 

 「勤労」、「教育」、「納税」。

それくらい知ってますよ。

 

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 そんなにイバラれてもなあ。

 「教育」は、正しくは「こどもに教育を受けさせる義務」だけど。

 さすが小中学校で習ったことはよくおぼえてるね。

義務と権利の対応関係からわかるように、一応納税は「義務」とされている。

しかし、世界の税制の歴史を見てみると、これは「権利」としての側面も色濃くある、というのがこの本のテーマなんだな。

それは、この本の題名が「納めなければならないのか」でなく、「納めるのか」となっているところに端的に表れている。

 

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 相変わらず細かいな~。

 

 

【章の構成・内容の概観】

 

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で、「第一章 近代は租税から始まった」。

近代の始まりは租税の始まりと同義と言えるんだけど、

そもそもの始まりはイギリスに遡る、と。

 

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 「マグナ・カルタ」でしょ!

 初めて聞いたとき、でっかいカルタを想像しちゃいましたよ。

「マグナム・カルタ」。なんちゃって。

 

Magna-Charta (1)

マグナ・カルタ(大憲章)  「マグナム」ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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・・・イギリスとドイツの対比は面白い。

「納税」とは、市民革命後のイギリスでは「権利」だけど、

19世紀のドイツでは「義務」と考えられることが多かった。

日本の税制はドイツを模範にしているから全体国家的要素が色濃くある、

とはよく言われることだけど、そのあたりも「第二章 国家にとって租税とは何か」で説明される。

ちょっと脱線するけど、「ドイツの税制」というと、泣く子も黙るTKCの創始者、飯塚毅先生のことを連想するね。

日本の税制はドイツの税制を参考にして設計されたこともあって、飯塚先生はドイツの税制を深く研究されていた。

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 映画『不撓不屈』の世界だ!

 ぼくも観ましたよ!

松坂慶子がキレイだったことしか覚えてないけど。

 

2006年の映画。 飯塚毅先生は滝田栄さんが演じられました。

2006年の映画。
飯塚毅先生を演じたのは滝田栄さん。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 (無視)

 でも、なんといっても白眉なのは、

 アメリカに直接税として所得税が導入された経緯かな。

第三章 公平課税を求めて」と「第四章 大恐慌の後で」では、「租税を政策手段として用いる」ことに注目して、フランクリン・ローズヴェルト大統領のニューディール税制が「アメリカ租税史上、最も革命的だった」(167頁)ことが述べられる。

所得税の導入にあたっての民主党と共和党の政治的な駆け引きとか、ここは読み物としても面白いところだ。

 

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 ひとつ聞いていいスか。

 佐藤さん、「ハクビ」ってなんスか?

 

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 そこはどうでもいいところだ。

 あとで国語辞書を引きなさい。

 

あと、個人的には租税思想史上の重要な論文を知れたのがうれしかった。

シュンペーターの『租税国家の危機』とか。

これ、岩波文庫で翻訳出てたけどもう絶版だった。

島本町立図書館にも、高槻図書館にもなかった。

さっそく大阪府立図書館から取り寄せたよ。

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1918年の論文。     邦訳は1983年(絶版)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに「第五章 世界税制史の一里塚」、「第六章 近未来の税制」になると、

トービン税、EU金融取引税、グローバルタックスなど、話はもっと大きくなっていく。

ここら辺は顧問先のほとんどが個人事業主や中小企業であるわれわれにはちょっと縁遠い話だけど、

これはこれで興味深い話である、といえるのかもしれない。

 

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 あれ、なんか歯切れわるいっスね。

 

 

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 正直、このあたりはまだうまく消化できてないんだ。

 初めて知る用語や考え方がいっぱいあって・・・。

 でも、実は一番読んでて面白かったのは、

「あとがき」の近現代日本の税制史かな。

7頁とかなり短いながらも、1877年の所得税導入から始まり、

2013年度の税制改正まで簡潔に概観してあってすごく勉強になった。

しかも、単なる概観にとどまらず、鋭い批判も述べられている。

 

「戦後日本の税制改革の特徴は、自民党の長期政権下で党税制調査会が絶大な権限をもち、インナーと呼ばれる数名の税制に精通した長老議員の主導下に行われてきた点にある。しかし、その内実はといえば、自民党に毎年上がってくる各利害集団からの細かい減税要求を精査し、何をどれくらいの規模でばら撒き、実現するかを決めていく利害調整にほかならなかった。(299頁)」

 

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 なるほどねえ。

 

 

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 そして、諸富先生は2012年に進められた三党合意に基づく

 「社会保障・税一体改革法案」を評価するんだけど、

 政権復帰した自民党の安倍政権による2013年度税制改正は

元の少数のインナーによる決定方式に戻り、経済活性化のための減税措置の羅列となってしまったと批判する。

 

「租税特別措置の多用は、狙ったところに政策効果を確実に及ぼすという点では、租税政策の効果を高めるが、他方ではそれは政府による恣意的な産業統制を強めることにつながる。なによりもそれは、恩恵を受ける産業分野への利益供与と紙一重である。公共事業や農業補助金だけでなく、租税政策の面でも、集票と利益供与の交換が行われているとみることができるのだ。(300-301頁)」

 

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 結構ズバッと言っちゃってるね。

 

 

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そうなんだよ。

でも、これは上からの言い方になるけど、すごくわかりやすい文章でしょ?

それもこの本が売れた理由の一つかな。

はじめにも言ったけど、とにかく読みやすいんだよ。

ひとつケチをつけるとすれば、索引がないことかな。

索引がついていれば、完璧だった。

 

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 わかった、読み終わったらその本貸してください!

 最後の7ページだけ読みます!

 

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まあ、それでもいいか・・・。

それにしても、なんかほとんど内容については説明できなかったなあ。

 

 

【最後にまとめ】

本書は経済学者による租税思想史で、実務への即効性はあまりありません・・・。

しかし、世界史をたどりながら税制の成立・根本について考えることができ、とても勉強になりました。

去年からずっと読みたかった本で、繁忙期前に読了及びまとめることができてよかったです!

 【スタッフ: 佐藤龍】

私たちはなぜ税金を納めるのか 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちはなぜ税金を納めるのか: 租税の経済思想史 (新潮選書)

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