【遺言書の効果】
被相続人が亡くなった後、相続人同士が相続財産の分け方でモメてしまうケースがあります。いわゆる「争族」ですね。
このような「争族」を防ぐのに一番有効なのが、遺言書を作成しておくこと。
法的に有効な遺言書があれば、財産を分割する際にその内容が尊重されますので、無用な争いを避けることができるのです。
【遺言書作成の注意点】
遺言書を作成する際には、いくつか注意点があります。
<その1>法的に有効な遺言書であること。
せっかく遺言書を作っても、決まった方式に従ったものでない場合、法的には無効となってしまいます。これでは亡くなった方のご遺族への思いが無駄になってしまいますし、相続人の間にも無用な争いが起こりかねません。
<その2>相続人の遺留分に配慮した内容であること
法定相続人には、民法上、最低限これだけは相続を主張できる、という取り分が保証されています。これを「遺留分」と言います。
この「遺留分」を侵害するような内容の遺言書を作ってしまうと、相続人の間での争いを引き起こしかねません。
例えば、遺言書で「全財産を長男に相続させる」と書いたとすると、相続の権利のある配偶者やその他の子どもには「遺留分」が発生します。遺留分については自分の権利を主張できます(自分の取り分を主張する手続きを「遺留分の減殺請求」と言います)。
こうなると、長男と他の相続人がお互い自分の取り分を主張し合うことになり、相続が「争族」になってしまいます。
【自筆証書遺言と公正証書遺言】
今回は、<その1>の有効な遺言書の作成の仕方を詳しく見ていきましょう。
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの種類がありますが、ここでは一般的に利用される自筆証書遺言と公正証書遺言を取り上げます。
自筆証書遺言は、遺言を残す人が遺言を自筆で書く方法です。自分一人ででき、費用もかからないお手軽な方法です。
自筆証書遺言が法的に有効であるための要件は、全文を自筆で書くこと、日付と氏名を自筆で記入してあること、押印(認め印可)がしてあること、などです。
また、自筆証書遺言は相続発生後、家庭裁判所で「検認」手続きをする必要があります。
お手軽で秘密も守りやすい自筆証書遺言ですが、紛失したり書き換えられたりする危険性があり、内容や形式に不備や誤りがあると、遺言が無効になったり、かえって争いのもとになったりするなど、デメリットもあります。
公正証書遺言は、公証役場を通して、公証人に遺言書を作成してもらう方法です。公証人が作成するので、法的に無効になることはまずありませんし、原本が公証役場に保管されるので、紛失や改ざんの恐れもありません。安心・確実な方法だと言えます。
ただ、公正証書の作成手続きはやや煩雑ですし、費用もかかりますので、作成のハードルはやや高いです。また、作成時に証人が2人必要ですので、遺言の内容を秘密にしたい方にとっては、心理的に抵抗があるかもしれません。
【遺言書を作りましょう】
「争族」を防ぎ、円滑・円満に相続をすすめるためには、確実な効果の見込める公正証書遺言を作成することをお勧めします。
実際に公正証書遺言を作成する際には、手続きのことや内容のことも含め、行政書士として当事務所が全面的にバックアップ致します。
また、公正証書作成の際は行政書士・難波孝朗と当事務所のスタッフが証人になります。私たちは専門家として守秘義務がありますので、秘密保持の点でも安心です。
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【遺言書作成方法のまとめ】
以下に、自筆証書遺言と公正証書遺言についてまとめました。
【スタッフ:松下】